僕と亀と空間
僕は一緒に生活をしようと亀に持ちかけました。
亀は快く返事をしてくれました。が、ひとつだけ聞いてほしいお願いがあるそうです。
「僕は名前を持ち合わせていないんだ。どうか僕に名前をつけてもらえないものかめ。」
僕は寝る間も惜しんで亀の名前を考えました。2日目に僕はルーピーという名前を亀に持っていきました。
しかし、ルーピーという名前は何年も前にポストペットにつけていたということを口にしたところ、お下がりは願い下げだと名前を突き返されてしまいました。亀はこうも言いました。
「僕は僕であって他の誰でもないんだ。君は僕をただの亀だと思っていないかめ。」
亀のくせに生意気だと僕は頭にきて捲し立てました。
「亀さんだって全然わかっていないじゃないか。僕はルーピーを一番可愛がっていたんだ。君なんかにルーピーの名前をくれてやるか。それじゃあ、亡くなったルーピーがあんまりだからね。ばかっ」
・・・。
一時の感情で怒ってしまったのを僕は悔やみました。
次の日、僕はひとつの箱を持って亀に謝りにいきました。
「昨日はごめん。今日は君にとっておきのプレゼントがあるんだ。これはどこにも売っていないんだよ。だって僕の手作りなんだから。」
僕は亀に箱を渡しました。箱の中を覗くと亀は悟ってくれたのか、恥ずかしそうに甲羅の中へ隠れてしまいました。僕は昨晩、ノートの切れ端に"メル"とだけ書いて箱の中に入れて置いたのです。
僕とメルはこれから幸せに暮らすことでしょう。願いを込めて。
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